

超自然的な「何か」が作用した場合の何かとは何か。
憑依の民俗に関する研究の第一人者である小松和彦氏は、この「つく」という言葉について『愚霊信仰論』において次のように述べています。
「『つき』という状態は、《日常の状態・能力+α》の状態であり、『つき』現象の発現の原因がαなのであるが、私たちは、その実体を把握し、理解することができず、したがって、便宜的に、〈意味されたもの〉を欠いたカラッポの概念を、αの部分に〈意味されたもの〉としてあてがっているにすぎないのです。
先のトランプなどのゲームにおいても、ついている、ついていると言いながらも何がついているのかまったく不明であり、したがって、それが人格的な超自然的存在であるのかも、呪力のようなものであるのかも、私たちにはほとんど判断することができない。
競技者たちも、それが何なのかをさらに進んで思考しようとしない。
彼らは『つき』とか『もの』とかを用いることで満足しているのです。
すなわち、αを、日本では古くから便宜的に『もの』と呼んでいるにすぎず、別の造語であってもよいわけである」つまり、わたしたちは日常的理解を超えた出来事が起こった場合に、それは超自然的な力の作用によるものだと(半ば無意識に)考え、その力が人やものに「愚いた」というのであるが、その超自然的な力の実体については曖昧なままに残しているのです。
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